「メタ認知を使うと人生が変わる!」みたいな雑誌や本でも溢れていますが、実は本気で使うと結構しんどいし、うつ病になりやすいとかいろいろ副作用もあるっていう話。
メタ認知という言葉
メタ認知は、心理学で使われる言葉です。
多くの記事では「メタ認知を育てよう」「メタ認知を高める習慣」などと書かれています。
もちろん、それ自体が間違いというわけではありません。
ただ、前提が少しずれていると感じます。
「メタ認知」とは、特別な才能ではなく、自分の思考・感情・判断の状態を一段上からモニタリングし、必要に応じて調整する働きのことです。
通常の認知発達を経た人間であれば、程度の差はあれ一般的に備えている能力です。
ただし、それを意識的に使えるか、精度高く使えるか、過剰に働きすぎないかは、また別の問題です。
私は反復性うつ病の治療中にこう問われたことがあります。
「考えすぎだよ。もっと気楽に。普段考えるとき意識してることある?」
私にとっては「先生何言っているの?」です。
正直にこう言いました。
「そうですね・・・何かを考えるときには、なんか右上から頭の中を見ている感じと、それ同じように左上から頭の中を見ているような感じですかね。それらが自分の脳に対して見方の提示をして、脳が最終決断している感じ。目を開けて目の前の物を見て思考しているときも、目を閉じてイメージしているときも同じですね。あと、他人にもその感じで考えて対応してます。」

「ああ、それとイメージしているのはよくサッカーでパスを出す時に俯瞰で・・・みたいな感じでは無く、頭の中で実際に立体的な物も抽象的なことも自然と立体化してます。これは先ほどの他人とのことでも一緒で、イメージは目を閉じれば、その情景は2つのカメラで切り替えて見ている感じで思い出します。」

先生は少し間を置いてから、次の質問をしました。
「そのものの見方はいつから?」
「そうですね、物心ついたときからですから。何か変なことでもあるんですか?」
この話をしたときに先生の表情がさっと変わりました。
「あっ、やべ。これなんかある」と思いました。
明らかに普段の淡々とした表情ではないビビった表情でしたから。
そして、続けてもう一度言うけど、考えすぎは気をつけなさいとも釘を刺されました。
これが「反復性うつ病」になった原因の一つだからと。
うつ状態とうつ病についてお話
ここで、よく語られる、うつ状態とうつ病についてお話をしようと思います。
なぜかというと、そもそもの話を知らないと、メタ認知の副作用の話に行かないし、私が陥ったことがわかりにくいからです。
なお、うつ状態とうつ病の経過については、本来かなり丁寧に扱うべき話です。この記事ではメタ認知の話を主題にしているため、うつについては別記事で改めて書きたいと思っています。私の現在の生活に関わる根幹部分でもありますので。
【重要なお願い】
私自身は精神科医では無いので、医師からの説明・経験談・各種資料に基づいてお話を進めて行きます。あくまでも一般論でもあるので、もし心当たりがある方は、ご自身で対処をお願いいたします。
まず前提があります。うつ状態とうつ病は、日常的によく混同される言葉ですが、医学的・心理学的には明確な違いがあります。
結論から言うと、「うつ状態」は誰にでも起こり得る「症状(状態)」を差し「うつ病」は専門的な治療が必要な「病気(疾患)」を指します。
では、それぞれの違いを説明してみたいと思います。
- うつ状態(Depressive State)
うつ状態とは、気分がひどく落ち込んでいる、何に対してもやる気が出ない、憂鬱であるといった「状態そのもの」を指す言葉です。
例で言うと、以下のような状態で現れることが多いとされています。
「仕事での大きな失敗、大切な人との別れ、強いストレスなど、明確な理由があって落ち込む」
でもこれは、人間の自然な心の反応です。
回復のプロセスにも注目です。
多くの場合、原因となった問題が解決したり、時間が経過したり、気分転換を図ることで、次第に元の状態に回復していきます。
- うつ病(Major Depressive Disorder)
うつ病は、うつ状態が重症化・長期化し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった「病気(疾患)」です。うつ状態が長期化することで、単なる「気の持ちよう」や「性格の弱さ」ではなく、脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)のバランスが崩れ、脳がうまく働かなくなっている状態と考えられています。さらに、気分の落ち込みだけでなく、不眠(または過眠)、食欲減退(または過食)、強い倦怠感、思考力や集中力の著しい低下など、心身両面にわたる深刻な症状が「2週間以上、ほぼ毎日」続きます。
こうなってくると、回復には専門的なアプローチが必要となります。明確な理由(ストレス要因)が思い当たらないのに発症することも少なくありません。自力での気分転換では回復することが難しく、医療機関での治療(薬物療法、精神療法、環境調整など)が必要になります。
もっと、細かく診断するには、アメリカ精神医学会が発行している精神疾患の診断・統計マニュアル「DSM-5」によって、診断されている精神科医の先生も多いと思います。
これはかなり本格的診断的な話なので、今回は省略しますが、「DSM-5」で診断されるということは知っておいて損はないです。
図に現すとこんな感じ

私がこの認知能力を必要以上に使った結果
ここで、私の話になります
私はコンサルタント時代、徐々にものすごく忙しくなり、お客さんの対応、部下管理などめちゃくちゃ忙しかったです。
しかし、この認知能力のおかげで、とりあえず100%に近い形でこなしていました。
この感じは人からは全く見えないだろうし、当の本人も気がついていませんでした。
ところが、いつかはそういう物は崩れます。
そして、1年弱の休職になりました。
しかし、早く復帰したいという焦りと、先ほど挙げた「うつ状態」と「うつ病」を先ほどの私の認知によって、境目を補完していた(らしい)ので、結果的に復職と休職をずるずるとしてしまい、結局うつ病が長引きました。
なお、当初かかっていた病院と今でも通っていて、最終的に「反復性うつ病」と診断名を変えた病院は全く別です。
一方で、良くなった別の例です。
私の奥さんの友人の話です。
この方の旦那さんも仕事終わりのしんどさが見て取れ、さらに休日の活発さが消え、明らかに状態がおかしいと私のことを知っている奥さんが気づいたそうです。
本人は乗り気じゃ無かったけれども、まずは見てもらったら、と言う早い段階で精神科医が介入したそうです。
具体的なことは伝聞ですが、すぐに休職をする。そして3ヶ月全く上司や会社からの連絡は取らない。そういう診断書を出して会社からの連絡は無し。全く会社や仕事のことを考えない3ヶ月にしたそうです。
その結果、復職プログラムにもすぐ乗れて、半年もかからずに元の状態に戻ったとのことです。
「高次的メタ認知能力を意識的に本気で使うのはほぼ不可能。
使えたとしても副作用が大きい」
じゃあ、この認知能力は手放すことができるのかと問われたならばできません。
なぜなら、そういう思考パターンで生きてきたから。
ただ…ものすごく脳のリソースは食います。
特に軽い物ならば平気なのですが、超絶に物事の連携や、人間関係が複雑に絡みあった時の多層を解読しようとしたときの思考。こういう時に起きる現象。
完全に思考が「ブツン」と切れてぶっ倒れて、キーボードに顔面ぶつけたり、椅子に寄っかかった状態の場合には、椅子の横に崩れ落ちるとかして倒れるとか。
よって、こういうことになります。メタ認知は「武器」にもなりますが、意識しすぎると「毒」にもなります。さらに「考えすぎでうつ状態」にもなりやすい。
その境目でこの記事を思い出したら、迷わず専門家の門を叩いてみてください。
早期ならば、復帰も早いですから。
では、また別の記事でお目にかかりましょう。
