「新卒コンサル」が大量に増加して、中小企業を混乱させている・・・。
これは私が現役の頃から、懸念していたことが始まっているかなり危険度の高い事象です。

現役だった頃の懸念が顕在化したと感じました

新卒コンサルの増加

ある記事を読みました。

新卒からいきなりコンサルタントとして採用され、それほど経験もないまま現場投入。
しかも、できることは少ないので、主に「小・零細」に投入。

そして、なにも得られまいまま、コンサルは契約終了で離れる。
数百万円の改革投資をして、なにも変わらなかった。

正直な感想は、「やっぱり、そうなってきたか…」ということです。

そもそもコンサルタントとは

コンサルタントには大きく2種類がある

まず、「コンサルタント」という言葉は、結構な人が知っていますが、厳密に言うと大きく2つあり、ここが違います。

戦略コンサルタント:企業の「経営上の重要意思決定」を支援する仕事

つまり、「新市場に参入するべきか」・「どの事業を撤退するべきか」・「5年後の主力事業は何か」・「AI時代にどう生き残るか」

要は「企業の未来そのものを設計する仕事」

戦術コンサルタント:実はかなり広い概念です。
あえていうなら、決まった戦略を、「現実の成果へ変える」仕事。

「業務改善コンサル」・「ITコンサル」・「マーケティングコンサル」・「営業コンサル」
これらがその部類になります。

要は「実行の最適化をする仕事」

まとめると、以下のような比較の図になります

これを比較すると、かなり大きな違いがあるとわかります。
つまり、「見ている目線そして仕事の範囲が違う」のです。


ちなみに、このようなキャリアになる方法は色々あります。

私の場合は両方を経験(戦術から戦略へ。戦略になってからも、実際のところ両方出来る人はあまりいないのが実情なので、実際の仕事でも戦略コンサルの助っ人として戦術として活動していました)しているので、嫌というほど目線が違うことがわかります。

実際、この両者でも立場が違うので、摩擦が起きることもそれなりにあったりします。

新卒コンサルが経営を左右するようなときに投入されるのか

新卒コンサルを投入せざるを得ない実情

これは複雑な要素が絡みますが、端的に言うとこうです。

”コンサル”という名前の中身が極端に広がり、人材不足になっている

つまり、戦略コンサル会社でも、戦術コンサル会社でもこうなっています。
「DX需要」・「AI需要」・「人手不足」・「大企業の変革案件増加」・「IT導入案件爆増」

要は、どんな規模の企業でも、意思決定の場面が多くなったし、様々な企業も知恵も借りたいと思うので、予算をかけてもなんとかしたいと思うようになってきた。
そうなると、両コンサル会社とも、案件が爆増。

そこに持ってきてこれです。売り手市場なので、
「就職でコンサルになれれば箔がつく」
まあ、イメージ先行。あとは本人の実力過信。

でも、実際はすぐにコンサルになる人はいない。
「資料修正」・「会議調整」・「システムなどの現地テスト」・「Excel地獄」

特に企業側(特に小・零細企業)の依頼もあやふやだから、エースや準エースなんかはもちろん、普通のコンサルも投入は出来ない。

例えば相談事例でいうと

コンサル事例ではないですが、例えるならば、こんな感じです。

部屋を片付けたいと夫婦(特に奥さん)は思った。
特に収納が不便だからレイアウトを変えたい。
旦那さんも自分の書斎っぽい空間はほしい。

じゃあ、いざとなって夫婦で相談。
真っ向から意見がぶつかる。


話し合ってもらちがあかない。

じゃあ、レイアウト専門の業者さんに頼んで、アドバイスもらおう。

話を聞くと、あれもこれもと言いだして、結局なにを解決すると、この部屋は住みやすくなると思っているのか?と聞くと、「うーん、どうすればいいですかね?」

この時間は結局なんだったのか?とレイアウト専門の業者さんは思うので、次は助手や見習いなどに、「よく話を聞いて来ること」となるのです。

コンサル業界に当てはめると

よって、コンサル業界でいうと、依頼の要件があやふやな場合、「新卒コンサル」がまず行け。話を聞くなりしてこい。
となるのです。

いきなり「新卒コンサル」が派遣されるまでに、営業なりが案件としてとってくる過程があるのです。
しかも、営業からの注意として、「直ぐに対応希望あり」とか書いてある。
要するに話を聞いてほしいということ。

よって、まずは「新卒コンサル」が対応するのです。

しかも、上記の地獄の中で、まあひとつの案件を持たせてもらえれば頑張ります。

でも、限界が来ます。これは中小企業の最大のポイントがあるからです。

中小企業ほど、本当は「現場理解」・「業界理解」・「人間関係理解」・「泥臭い改善経験」が必要。
つまり、人間の力学や社内情勢を見抜く必要が出てくるのです。

ここに、まだ実務経験の薄い新卒を「単独に近い形」で、最後まで投入し続けると、破綻します。

コンサル会社側の対応

新卒コンサルひとりで最後まで対応はまずない

ただ、補足をすると、コンサル会社側も「新卒コンサル」が全てどうにかできるとは、さすがに思っていません。
要は、依頼があるからとにかく行って、要望でも何でもいいから聞くこと。

基本はこれがその新卒コンサルのミッションの始まりです。

そのうちに、「手が空いたもうちょっとキャリアのあるコンサルにスイッチする」を考えているのです。
ところが、依頼案件(特に指名案件)が多いので、手が空いたコンサルはメインコンサルにはできず、サブでアドバイスしています。

なぜ、こうなってしまうかというと、いちから引き継ぐよりも、最初から現場に入っている新卒コンサルの方が顔や性格などを知っていることが往々にしてある。

よって、なんとか破綻しないようにそれなりのポジションの人がサブでアドバイスしていたり、現場に顔を出したりすることが実は多いのです。

でも、当然メインコンサルは「新卒コンサル」。一番顔を出しているから。
サブでベテランがサポートしているかは、正直わからない。依頼者側には。

よって、「新卒コンサルが・・・」の論調で語られてしまうのです。

「中小企業のコンサル依頼はどうすべきか」

中小企業は上手くコンサル支援は受けられないのか

そうなってくると、中小零細企業はコンサル支援を受けられないのかと思われるかもしれません。
でも、よく考えてください。どちらもビジネスなのです。コンサルだからといって特別なことはありません。
つまり、自社が営業に行く、購買すると同じことを考えればいいのです。

  • まず、自分の会社で「何を見てもらいたいか」という目的をできるだけピンポイントで考えましょ
    (AIを入れるに当たって、我が社で注意すべきことは?とか、飲食なら、お客さんと従業員の導線ってこれでいいのか?など)
  • そして、同業者でそういう依頼をしたことがある人を探しましょう。(いわゆる口コミ)

  • いない場合は、地元の商工会議所とかに行くと、地元に根ざしたコンサルを教えてくれることもあります。(中小企業こそ地元密着度が高いので)

  • やっぱり、それなりの大手に頼みたいとなったら、まず「目的」と「予算」をしっかり伝えます
    このあたりになってくると、かなりビジネスよりになってきますので、しっかりと条件を伝えます。
  • ここが最大の重要ポイントになります。「以上の条件の場合、どのようなコンサルタントさんがいらっしゃるのですか?こんな人という例示でもいいから教えてください」

  • そして、このことをいくつかのコンサル会社にしてみます。いわゆる相見積もりを行います。

ここまで言われて、新卒が行きますとは言わないです。まあ、若手になりますが・・・とは言われるかもしれません。

なぜここまで、慎重にする必要があるか。
下手すると100万円単位の予算を要求されることもあるからです。
その上、投資したのに何も得られなかったも大量に発生している。

これも事実です。

この件は、私が現役の頃からの構造的問題でもあるので、いずれ整理してお話しします。

また別の記事でお目にかかりましょう。