前回は「部門間調整」でした。前回記事では部門間で共通認識ができたら上出来。と言いました。では、その次の話に進みましょう。
次へ進むキーワードは、「トップダウンに持ち込む」
「トップダウン」はわりとよく言われる言葉ですが、奥は実は深い
なぜそう言えるのか。規模や業種に左右されるからです。
100社近く見てきても、傾向があります。
それは、我々コンサルタントへの依頼経由や、ヒアリングでも明確です。
あえて、ここではもう古い言葉ですが、
第1次産業・第2次産業・第3次産業
ということにしましょう。
ここで、質問です。
この中で、一番分業化が進んでいる産業はどれでしょう?
ちょっと考えるとわかります。
第2次産業です。
つまり、こここそ過去に高度に最適化され、日本の産業効率化を進めて日本経済を推進してきた産業であるからです。
これは、なにを言わんとするかというと、
「一番分業化され、個々の部門が自分の役割さえ回せば、確実に売上につながる仕組みがすでに出来上がっている」
もっというと、
「分業化が極端で(1人の仕事はこれ、という属人化まで進んでいる)ので、他部門のことを見る必要がない」
ということになります。
なぜ、では他産業では起きにくいか。
第1次産業は、もう生産者さんが一気通貫。よって、自分の仕事がわかっている。
第3次産業(サービス業など)は他部門連携しないと、仕事が動かない。
もちろん各領域はきちんと守るが、ここまでと言うきっちりとした線引きをしてしまうと、
他部門から「なんで調整しなかったんだ」とかのクレームが入るから。
つまり、企業の最適化の依頼が来るのは、トップもしくはミドル(事業部長や部長)が多いのです。特に第3次産業は。
そしてこれもあります。
第3次産業のミドル層は、売上管理だけではなく、収益管理もしなくてはいけないから。
よって、コスト意識が強い。
なぜか。形がない業態なので、売上だけでは自分の管理下の部署が実は赤字垂れ流していた場合、必ず上から突かれて、説明責任を求められる。
だから、第1次産業も構造的問題はありますが、コンサルタントの仕事の依頼の発端は第3次産業のミドル層が多いのです。
第2次産業(製造業)では、構造改革はいらないか?
そんなことはなく、最も効率化されているからこそ、硬直化が起きている可能性があるからです。
せっかくなので、前回の続きで行きましょう。
前回は、やっと部門間で問題意識がなんとなく共有出来たというところでしたね。
でも、これでは問題意識の共有で終わってしまいます。
こういうものは、動かなければ意味がないのです。
しかし、それぞれの部署ができることは限りがあります。
予算もありますし、ノルマもある。人的リソースもある。
でもよく考えてほしいのは、これって誰が配分しているの?です。
もちろん、部門間を横断し、指示を出しているミドル層です。
トップの方針に従って。
でも、往々にして起きているのが、これです。
自分の事業部売上しか見ていない(コスト視点が抜けている)
私の過去の事例にもこんなことがありました。
超大手のTV関連工場でした。
いろいろミドル層に聞いても、これです。
「今現状これだけ出荷している。このTVの単価は○○円だから、これくらいの売上です」
ここでこう聞きました。
「そのテレビ1台にかかっているコストってどのくらいですか?それがわからないと、この工場が会社に貢献しているかわからないし、そもそもテレビ事業って収益に貢献しているの?という視点で見られています。」
はじめて、ここでそうなのかと売上とコストが連携していると気がつくレベルなのです。
第2次産業(製造業)はコスト管理をしていないのか
実はコスト管理が一番進んでいるのは「第2次産業」なのです
実際に、金融管理会計のソリューションを、営業に大手鉄鋼メーカーの工場に持っていったときの話です。
正直、けんもほろろでした。
当たり前すぎなんです。コスト管理っていうのは。
ロット単位、部品レベルでの管理。原価配賦方式。
全てが最適化されている。
ただし、ここに罠があると、後に営業管理もコンサル領域になったときに思いました。
実はもうミドル層も知ってはいます。売上の伸びは徐々に鈍化しているでも、伸びてはいる。
なので、下手に手を入れたくない。
そして、これが無い。
売上(営業)とコスト(製造現場)が結びつかない。
もっと言うと、さらに上のトップ層はこう思っています。
「財務的には売上が上がっているのに、収益が上がっていない。おかしい」
もうおわかりだと思うのですが、上手くいっている組織ほど、動きが取れない。失敗リスクをおそれるから。
しかも完全に分業。下手に製造部門が営業部門に仕事持ってくるなとも言えない。
具体的にどう動くか
まず前提として、一般のラインの人では難しいので、ラインの管理者とします。
だから、現場で協力して数字を集めて事業部会などで発言するのです。
「最近、残業が実感として多いと思います。そして機械の不具合修理などでラインが止まります。残業や機械のメンテナンスなどで電気などの料金も使っている気がしました。」
「そのことを経理に聞いてみたら、このくらいのコストがかかっているようです。これを改善すると、残業も減るし、売上は落ちずに、コスト削減になるはずです。」
「でも、これは事業部全体の問題でもあるので、ぜひ事業部全体の底上げで会社に貢献して評価を得るために、事業部長が音頭を取っていただき、実践へと動いていただけませんか?我々現場も協力しますので。」
ここまで、言われて「めんどくさいからいい、と言われたら」、正直言って業務改革は難しいというかストップです。
しかし、発言の仕方で絶対に外してはいけない、ポイントがあります。
実際の数字
(コストの提示やラインが止まっている時間など)現場の疲弊
(表面化していなくても、属人化によって多少はあるので、誰かが無理をしている)現場の絶対的な協力
(現場の社員には給料が上がるかもと言う含みを事前に持たせておく)「これをやることで、事業部の評価が上がる」
=「事業部長の評価も上がる」(取り組みも見え、数字で結果が出る)
これは、「現場」と「事業部長」とのトレードオフになります。
Win-Winの関係構築です。
正直、先ほども言いましたが、これで動かないミドル層はそうはいないと思います。
「じゃあ、それぞれの部門で、これは改善してほしいとかまとめてくれ」
くらいでスタート。十分目的達成です。
そうすると、社員の問題化の視点が可視化されます。
こうなると、他の部門も何やってんだ?となります。
それがトップに伝われば、「実は社員からの提案で・・・」と事業部長も言うことができ、評価は上がります。
これが、「上昇スパイラル」に持っていく方法の一つです。
これが上手くいかない企業もある
保守化が異常に強いケースがそれにあたる
ただ、これが効かない企業もあります。
全部の業態に言えることです。
昔ながらの老舗企業で、トップの判断が極めて保守的なケース。
要するに、「今までのやり方こそが正義」という文化が根強い組織です。
これは、私も経験ありますが、結構キツいのも事実。
でも、突破口はあります。
100%効くかはわかりませんが、やってみる価値はあります。
腰の重い老舗企業をなんとか動かす方法はまた。
今回は以上です。
今回も難しい問題ではあります。でも、その意識を持って動いてみる。
そんな意識を持って、少しずつ動いてみてください。
では、またの記事でお目にかかりましょう。
